書籍情報
書籍名 | 反応しない練習 - あらゆる悩みが消えていくブッダの超・合理的な「考え方」 |
著者 | 草薙 龍瞬 |
出版社 | KADOKAWA/中経出版 |
出版日 | 2015年7月31日 |
ページ数 | 224ページ |
ジャンル |
この本の結論と要点
この本の結論
本書の結論は、人間の究極の動機は「貢献」であり、貢献という動機に立って、できることをして、暮らしが立って、小さな喜びや楽しい出来事を見つけることが大切であるということです。
本書の前半では、私たちの心が一日に「7万個」もの想念を思い浮かべることがあることが説明されています。
心は目まぐるしく回転し続けており、これは「心は無常である」ことの一つの例であるとされています。
そして文書の後半では人間の究極の動機について説明しています。
どんな人でも、「お役に立てればよし」という貢献という動機に立って行動することができるとされています。
そして、貢献という動機に立って、できることをして、暮らしが立って、小さな喜びや楽しい出来事を見つけることが大切であるとされています。
本書は、私たちが自分自身や周りの人々に貢献することの大切さを教えてくれるものであり、人生において意義深いメッセージを伝えています。
本書の要点
本書の要点を大きく5つにまとめると以下の通りです。
- 心理学の一説によると、心は一日に「7万個」もの想念を思い浮かべる。心は目まぐるしく回転しているため、心は無常である。
- 「我慢する」というのは、正確には、相手に我慢しているのではなく、「自分の怒りを抑え込んでいる」状態である。自分の怒りを抑え込むことはストレスを引き起こす。
- 理解し合うことが大事である。自分自身の感情、思い、考えを、相手に理解してもらうことが大切である。相手が理解しようとしない場合は、関わる意味がない相手である可能性がある。
- 伝えることで相手が理解してくれる可能性があるなら、「理解してもらう」ことを目的にすべきである。伝えること、説明することが大切である。
- 相手とわかり合うことも、一つの方向性になる。自分の気持ちを理解してもらうことも、方向性である。仏教では、方向性をよく考えることが大切である。
この本の細かい解説
心は無常
心理学の一説によると、心は一日に「七万個」もの想念を思い浮かべるということです。
このことは、「心は無常である」ということの一つの例であり、心が目まぐるしく回転し続けていることを示しています。
思いやりがない「無情」ではなく、不変のものはないという意味の、諸行無常などで使われる「無常」です。
このポイントは、私たちが日常的に経験していることを裏付けています。
私たちは、何気ない日常生活の中で、様々なことを考えています。仕事のこと、将来の計画のこと、家族や友人とのこと、趣味や興味のあることなど、様々なことが私たちの頭の中を駆け巡っています。
しかし、このように心が目まぐるしく回転し続けていると、集中力や注意力が散漫になり、思考が混乱してしまうことがあります。
また、ストレスや不安など、ネガティブな感情が増幅されることもあります。
そこで、私たちが集中力や注意力を高め、ストレスや不安を軽減するために、一つのことに集中して考えることが重要です。
例えば、タイマーを使って、5分間、ただ一つのことを考え続けることで、心を落ち着かせ、集中力を高めることができます。
心が目まぐるしく回転し続けることによって、ストレスや不安を感じることがありますが、一つのことに集中することで、心を落ち着かせ、より効果的に問題に対処することができます。
他人からの評価を「追いかけない」
他人からの評価や承認を追いかけることが、自分自身を縛り付けることになってしまいます。
他人からの評価や承認を追いかけることで、自分自身が本当に望むことや、自分自身が本当に大切にしていることを見失ってしまいます。
この承認欲を含め、様々な感情を抑制するためには、大きく分けて3つの方法があります。
- 気づいて反応しない
- 感情から感覚に意識をシフトさせる
- 反応の源を断つ
1つ目の「気づいて反応しない」は端的に言えば、自分が承認欲に苛まれていると気付き、「これは心のビョーキ」「これは記憶にすぎない」と自分に言い聞かせるなどして、その反応からの抜け出すことを努力します。
このように「気づきの言葉」を繰り返すことを仏教用語でラベリングといいます。
次に「感情から感覚に意識をシフトさせる」というのは、承認浴や怒り、悲しみは感情の反応です。
これを運動やお風呂、美味しいものを食べるなど感覚が反応することを行うことによって、感情の反応を減らすことができます。
最後に「反応の源を断つ」ためには、感情の根源であるヒトやモノと距離を置くことが重要です。
五つの妨げ
人生には非常にネガティブ方向に強い力がある「五つの妨げ」というものがあります。
五つの妨げとは、
- 快楽に流される心
- 怒り
- やる気の出ない心
- 落ち着かない心
- 疑い
のことを指します。
人間が持つ欲望や感情、思考などが原因で生じるもの であり、これらに負け続けると、自己嫌悪が募り、自尊心を失ってしまいます。
この「五つの妨げ」に勝つためには、正しい勝ち方をすること、自分の目標をよく見て奮い立たせること、反応に逃げずに感覚を意識すること、快を見つけることなどがあります。
「快を見つける」とは、仕事や作業を「積極的に楽しむ」ということです。そして、あえて「快で反応」してみせること、「楽しんでいるぞ」と努めて意識することが重要です。
この「快を見つけ、快で反応をしてみせる」というのは本書のテーマである「反応しない」というのと、逆のアプローチをとっています。
なぜなら「反応しない」というのは、快楽に流される心や怒りや妄想といった、マイナス、ネガティブな反応についてのことを指しているためです。
逆に、自分の気持ちを盛り上げてくれる「快の反応」は、意識してやってみるとよいのです。
「快で反応しよう」と心がけていると、ふだんの「ぼんやり心」から、徐々に「すっきりと楽しい心」に変わっていくものです。
また多少の「怒り」に対しては反応しない(負けない)ようにもなります。
快の反応は、工夫(心がけ)次第で増えていきます。
例えば、仕事であれば、自分が得意な部分を見つけて、そこに集中することができます。
また、自分が興味を持っていることについて、情報を集めたり、勉強したりすることも快の反応につながります。
そして快を見つけることは、人生を楽しむためにも重要です。
自分が何を楽しんでいるかを知り、それに向かって行動することで、より充実した人生を送ることができます。
まとめ
この本は、私たちが日常生活の中で感じる感覚や、周りの人々との関係性、そして自分自身との向き合い方について、深く考えるように促しており、それは情報化社会である現代への重要なメッセージだと感じました。
例えば、時間帯によって空の色や街の光、木々の緑や流れる川の色が違うことや、季節や一日の時間によって鼻先から入ってくる空気の匂いや濃密さが異なっており、このような感覚を意識的に感じ取ることで、私たちは自分自身と環境とのつながりを感じることができます。
そして同じように、自分自身が孤独であると感じた時、他人の孤独を想像することで、自分自身も孤独でなくなるなど、他人とのつながりを大切にすることが、述べられていました。
また本書では、自分自身との向き合い方についても語られています。
私たちは、日常生活の中で様々な感情を抱えることがありますが、その感情に振り回されることなく、冷静に対処することが大切だということが分かりました。
本書を読んで、自分自身を否定することなく、自分自身を受け入れ、自分自身と向き合っていこうと思いました。