書籍情報
書籍名 | 思考力の地図 - 論理とひらめきを使いこなせる頭のつくり方 |
著者 | 細谷 功 |
出版社 | KADOKAWA |
出版日 | 2022年11月17日 |
ページ数 | 176ページ |
ジャンル |
この本の結論と要点、学び
この本の結論
本書の結論は、論理的思考はビジネスにおいて非常に重要であるが、それだけでは全てを解決できるわけではなく、感情や直感とのバランスが必要であるということです。
また、ビジネスにおける結論は、何らかのアクションにつながるメッセージである必要があり、そのためには「だから何なのか?」という相手に合わせたメッセージを持ったものでなければならないということも述べられています。
文章の中で、論理的思考がビジネスにおいて非常に重要であることが強調されています。
しかし、それだけでは全てを解決できるわけではなく、感情や直感とのバランスが必要であるとも述べられています。
論理的思考は、あくまで もビジネスにおける意思決定のベースとして活用されるべきであり、感情や直感とのバランスを取りながら、より良い結論を導くために活用されるべきであるということが言えます。
つまり、ビジネスにおける結論は、単なる学問的な結論ではなく、相手に対して何らかのアクションを促すメッセージである必要があるということです。
論理的思考は、ビジネスにおける意思決定のベースとして活用されるべきであり、感情や直感とのバランスを取りながら、より良い結論を導くために活用されるべきであるということが言えます。
この本の要点
この本の要点を5つにまとめると以下の通りです。
- 論理的思考はビジネスにおいて必要不可欠なスキルであり、全体像を把握し、相手に合わせたメッセージを持つことが重要
- フレームワーク思考は、地上の視点から抜け出し、客観的・論理的な表現ができるようにするための思考法
- MECEは、モレなくダブリなく考えるためのフレームワークであり、問題解決に役立つ
- 全体像を把握することが重要であり、部分しか把握していないと相手に伝わらない
- 具体と抽象の往復や、部分と全体の関係性を考えることで、論理的思考を養うことができる
感想
論理的思考についての解説が非常にわかりやすく、自分自身が思考に陥りがちなクセを改めるためのヒントを得られたと感じました。
特に、自分中心の思考やバイアスに気をつけることが重要だという指摘には納得しました。
また、論理的思考はビジネスに限らず、生活の中で必要なスキルの一つであることを再確認しました。
文章の例も分かりやすく、図表をふんだんに使われているため、内容が頭に入ってきやすく読みやすい一冊でした。
この本の細かい解説
論理的思考の重要性と仮説思考
論理的思考はビジネスシーンにおいて、非常に重要なスキルの一つです。
そして、その論理的思考は、『だから何なのか?』というアクションにつながることが重要です。
具体的には、「だから何なのか?」あるいは「受け手に対してどういう影響があるのか」「どういうアクションが必要なのか」というものにつなげた メッセージを持った結論が求められます。
そして、論理的思考は、適切な前提と推論に基づいて正しい結論を出すための考え方であり、前提が正しいことと推論が正しいことが条件となります。
またビジネスシーンにおいては、スピードや効率性が重視されるため、仮の結論(仮説)を柔軟に変更しながら進めていく必要があると説明されています。
この仮説を柔軟に変更しながら進めていくことこそが、仮説思考です。
論理的思考では前提があって推論があって結論を出すという流れですが、仮説思考はある意味でこの論理的思考の流れを逆転するようなものです。
仮説思考では結論を出してからその根拠を探っていくという流れになります。
この論理的思考と仮説思考を時と場合に合わせて両輪で活用していくことにより、よりスピーディーかつ効率的に問題解決をすることができます。
フレームワーク思考
フレームワーク思考とは、問題解決やアイデア出しの際に、あるテーマを包括するような「枠組み」を用いて、より広い視野で考えること、全体を俯瞰することを指します。
この枠組みを用いることで、自分の考えている世界が狭い場合には、すぐに自分 の考えているものより枠が大きいということに気がつき、足りないところがわかります。
一方で、枠があることによって、その枠の外に出た斬新なアイデアが出にくくなるという欠点もあります。
具体的には、ロジックツリー、マトリックスなどを用いて、全体の外枠を描き、自分自身の思考のクセや盲点に気づくことができます。
このような抽象化思考を取り入れることで、より広い視野を持 ち、新しいアイデアや視点を見つけることができるようになります。
またMECEという考え方も重要です。
MECEとはMutually Exclusive and Collectively Exhaustiveの略で、「漏れなくダブりなく」ということを意味しています。
このMECEという考え方のもと、ロジックツリー・マトリックスなどを用いて、全体を俯瞰することがフレームワーク思考での重要なポイントとなります。
「考える」とは「上位概念でつなぐ」こと
上位概念とは、下位概念と比較して、より抽象的で一般的な概念を指します。
例えば、「果物」という上位概念には、りんご、バナナ、みかんなどの下位概念が含まれます。
つまり、上位概念と下位概念は、階層的な関係にあります 。
「考える」とは、それぞれの下位概念を単独で考えるだけでなく、上位概念と下位概念を往復してつなげることで、新しいアイデアやメッセージを生み出すことを指します。
つまり、上位概念を共通する点でまとめ、抽象化すること で、より広い視野を持って考えることができるのです。
例えば、「1人ブレスト」というアイデア出しの手法は、自分自身の思考にとどまってしまいがちですが、抽象化思考を取り入れることで、より客観的・論理的な思考ができるようになります。
そして抽象化を続け、視野を広げ、遠くのものをつなげることは、私たちの人生の自由度が上がることにつながります。
ある意味私たちが住むこの「見える世界」は、上記の上位概念・下位概念で表現すると下位概念であり「具体」の世界です。
一方でお金や言語など、人間が抽象の世界で作り出した上位概念である「見えない世界」は、心理的・精神的な世界を指し、それは無限の広がりがあります。
そして人生の自由度が低い世界とは、正解がある世界であり、正解がある世界では「どちらが正しいか」「どちらが優れているか」というようにすぐに優劣をつけられ、勝者と敗者が明確化されます。
一方で抽象度を高め、無限の数の視点で見れるようになると、簡単には優劣や勝敗をつけなくなります。
ただし自由度が高いほうが幸せであるわけではなく、人によっては制限がある世界(正解がある世界)の方が居心地がいい人も存在するでしょう。
これも1つの選択ですが、自由度を上げておけば「正解がある世界」「正解がない世界」のどちらでも選べるようになります。
つまり思考力を上げておいたほうが人生の幅を広げることができるともいえるでしょう。
まとめ
本書では「論理的思考の重要性」から始まり、最終的に「思考力を上げる重要性」に昇華されています。
総じてまとめると、論理的思考はビジネスシーンにも役立つし、それを鍛えておけば人生の幅も広がる、ということだと思いました。
本記事では紹介しきれませんでしたが、有名なフレームワークである3CやSWOT、PEST分析の使いどころの紹介や、
思考力を高める練習としてフェルミ推定、また新しいアイディアを生み出す方法としてアナロジーが紹介されていました。
実践的でありながら「論理的思考の重要性」を深ぼっていくような内容だったので、非常に参考になる一冊だったと思います。