書籍情報
書籍名 | 生き方は星空が教えてくれる |
著者 | 木内 鶴彦 |
出版社 | KADOKAWA |
出版日 | 2015年8月21日 |
ページ数 | 250ページ |
ジャンル |
この本の概要と要点
この本の概要
本書は、著者である木内 鶴彦さんの臨死体験を通じて生まれた感情や考え方、価値観の変化について述べられています。
例えば都市の夜景の明るさについて、歴史的建造物や橋、高層ビルやタワーが美しい光に照らし出される様子は美しいものですが、それによって夜が明るくなり、人類は満天の星空を失ってしまったと指摘しています。
さらに、植物にも電飾が施され、夜のライトアップが植物を死滅に追いやっているにもかかわらず、人々は灯りを消そうとしない現状について疑問を呈しています。
このようなことが起こっている要因は人々の「金儲け」に起因しており、観光地のライトアップや都市のネオンサインは、人を集めたり自社製品を宣伝するために行われていると述べています。
このように「金儲け」を最優先事項とする限り、人類は持続可能な未来を築くことができないと主張しています。
地球で生き残るためには、お金よりも大切なものを見直し、地球での生活を前提とした産業構造や経済構造を考える必要が あると述べています。
本書の要点
本書の要点を大きく4つにまとめると以下の通りです。
- 自分の経験や記憶は、自分の内側に存在する「意識」の一部
- 「死」とは膨大な意識の世界であり、その世界に取り込まれると(死ぬと)、個の意識を維持できなくなる
- 未来はまだ誰も経験したことがなく、その予測や想像は限定的
- この臨死体験を通じて「持続可能な未来」を築くためには「自然中心」の考え方が重要
この本の細かい解説
突然襲った病魔
著者の臨死体験は非常に特異なもので、病気によって意識を失い、一時的に死亡状態に陥りました。
その間、著者は自分の実家や友人の様子を見ることができました。
著者はこの体験が事実であることを自分自身で確認しましたが、第三者にとっては、彼が意識を取り戻してから聞いた情報をもとに記憶を再構築したものではないかと疑われる可能性もあります。
しかし一時的な死を通じて体験したことはそれだけではなく、未来に関連する体験もしました。
具体的には、1994年10月に開催される予定の『将来世代フォーラム』での講演のことです。
このフォーラムはアジアの学生を対象に、将来を担う世代に今の世代が何を残すべきかを考える場であり、講演は高野山で行われる予定でした。
その会場に通されたとき、著者は自分の目を疑ったそうです。
なぜなら、臨死体験中に見た掛け軸とまったく同じものが部屋の床の間に掛けられていたからです。
掛け軸に駆け寄り、本当に臨死体験中に見たものと同一のものかどうか確かめ、そして間違いないと確信したそうです。
また、臨死体験中に着ていた灰色のシャツとは異なり、彼はその日緑色のシャツを着ていたそうですが、部屋を照らしているライトの色によって、着ていた緑のシャツはくすんだ灰色に見えました。
これらの出来事によって、自分が臨死体験中の「意識だけの世界」で見たことが現実であったと確信しました。
「金儲け」のせいで人類は滅亡する
昼間は明るく、夜は暗いというのが自然のリズムです。
植物は昼間に太陽の光を受けて光合成を行い、夜の闇では休むというサイクルを持っています。
しかし、人工的な灯りによって夜間も明るくなってしまうと、植物はこの自然の リズムを乱され、光のストレスを感じるようになります。
もし人間が同じような環境に置かれたら、夜になっても寝かせてもらえず一晩中働かされ続けることになります。
眠らないことがどれほどの肉体的・精神的ダメージにつながるかは容易に想像できるでしょう。
同様に、植物も夜間の 休息が十分に取れないと、成長や光合成の能力が低下し、健康状態が悪化します。
そして、植物がすべて枯れてしまうと、大気中の酸素濃度が低下し、私たちの生活に影響を及ぼす可能性があります。
昔に比べ「夜空が明るくなった」と感じる人は少なくはないでしょう。
それは、「お金儲け」のために、人々が意図的に夜を明るくしているためです。
観光地はライトアップすることで人を集め、都市ではデジタルサイネージを使って自社製品を宣伝します。
また、24時間営業のコンビニエンスストアが必要以上に明るいのも、人の購買意欲をそそるためです。
このように人々が「お金儲け」を最優先事項にしている限り、人類は破滅の道を歩み続けるだけだということに気づかなければなりません。
環境バランスを整え、命の循環を保つためには何ができるのか
この地球を守り続けるためにはどのようなことができるでしょうか。
それは、誰かが行動してくれるのを待つのではなく、一人ひとりが自分でできることを考え、行動することです。
例えば自分の住む街にダイオキシンを出すゴミ処理場があれば、多くの人が文句を言いますが、その発生源は自分たちであるということを多くの人は自覚していません。
多くの人は自分の周りで起こっている問題を「人のせい」にします。しかし「人のせい」し続けてしまうと、永遠にその問題は解決しません。
ダイオキシンを発生させないためには、有害な物質を発生させる製品を買わなければよいのです。
このように一人ひとりが考え、行動することで、少しずつでも地球環境のためになっていきます。
著者のように、自分の能力や才能に目覚め、強い動機が生まれるタイミングは人それぞれです。
しかし「自分には才能がない」「自分はダメだ」と考えてしまうと、自分の能力や才能の可能性を潰していることになります。
自分の能力や才能を見出し、それを活かす人生を送るためには、自分自身を信じ続けなければなりません。
まとめ
最近では「SDGs」という言葉が様々な場面で使われています。
本書を読んで、元はと言えば地球環境をここまで悪くしたのは人間だということに気付かされました。
改めてよく考えてみると、スマートフォンや家具家電、車や電車など、人々の生活を便利にするものたちは全て「金儲け」が起点になっているとも思えました。
もちろん、SDGs的な考えを取り入れ、省エネ化を努力する企業もありますが、極論「使わない」が本当に地球環境に良いことだとも思いました。
かといって「明日から地球環境のことを考え、エアコンを一切使いません」というのも極端な話で、バランスも重要だなと個人的には思いました。
しかしこの「極論」を頭に入れておくだけでも、今日からの自分の行動に変化が生まれそう、と思った一冊でした。