【まとめ】東大教授が教えるヤバいマーケティング

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書籍情報

書籍名東大教授が教えるヤバいマーケティング
著者阿部 誠
出版社KADOKAWA
出版日2019年5月24日
ページ数224ページ
ジャンル
  • スキルアップ
  • マーケティング
  • 仕事術
  • 科学
  • この本の内容と要点

    この本の内容

    本書では、日々マーケティングの力によって非合理的な判断を下してしまっていることに対して警鐘を鳴らしています。

    マーケターは消費行動の原理に基づき様々な方法で消費者を誘惑しており、その様々な手法を本書で紹介しています。

    そのようなマーケターが手掛ける巧みな手法を理解することで、消費者側である我々は不本意な消費を避けることができると述べられています。

    本書の内容は日々マーケティング活動をおこなっているマーケターにとっても、日々マーケティング活動を受けている消費者側にとっても、

    そして行動経済学や認知心理学、社会心理学を学びたいと思っている方にとっても参考になる一冊だと思います。

    本書で紹介されているマーケティング手法

    本書の紹介されているマーケティング手法を本記事では5つ紹介します。

    1. 訳あり商品に隠された「両面提示」の罠
    2. 選択肢の文脈によって相対的な評価が変わる「フレーミング効果」
    3. あなどれない「イチキュッパ」の力
    4. 同じ広告に何度も...「単純接触効果」の効果
    5. ポイント付与の方がお得に感じる「プロスペクト理論」

    マーケティング手法の細かい解説

    両面提示広告の罠

    「両面提示広告」とは、商品やサービスのポジティブな部分とネガティブな部分の両方を提示することで、消費者から信頼を得る手法のことです。

    巷の溢れる「訳あり商品」は両面提示広告の代表例とも言えるでしょう。

    また居酒屋のハッピーアワーや、レストランの平日限定なども、広義では「訳あり」とも言えると思います。

    このような訳あり商品に共通することは、このような「お得感を重視する顧客」にターゲットを絞り、そこまで重視されないデメリットを提示しているということです。

    つまり「お得感を重視する顧客」に対し、「そんなデメリット気にしないよ」という確信や納得を促し、購買意向をそそる手法であるといえます。

    さらに訳あり商品を買った顧客には、購買決定を正当化する理由(=安かったから)が生まれるため、認知的不協和と呼ばれる「後悔する気持ち」を軽減することにつながります。

    フレーミング効果とは

    フレーミング効果は、情報の提示方法や文脈が人々の意思決定や判断に影響を与える現象のことです。

    これは、同じ事実を異なるフレームや視点から表現すると、人々の反応や選択が変わることを意味します。

    行動経済学や心理学では、このフレーミング効果がしばしば観察され、人々の意思決定が完全に理性的ではないことを示しています。

    例えば「75%脂肪フリー」の表記と「25%の脂肪含有」の表記では、事実としては同じですが、前者の表現の方がより健康的に見え、消費者にとって魅力的に映る可能性があります。

    このようにフレーミング効果を活用することにより、消費者の判断を自由に操作することができてしまうのです。

    フレーミング効果に囚われないためには、自分自身でその計算をしてみることです。

    例えば10%オフという表記に対して、実際いくら安くなるのか計算してみるということです。

    本体価格が300円であれば、10%は実は30円しかお得にならない、と一度立ち止まってみることで、フレーミング効果の影響を軽減することができます。

    「イチキュッパ」の力

    「イチキュッパ」にも実は認知心理学的な仕掛けが隠されています。

    アメリカの認知心理学者であるジョージ・ミラーは、「マジカルナンバー7±2」という論文で、人間が瞬間的に覚えられる数字の桁数は5~9桁と提唱しています。

    しかし、より低関与な状況の場合だと、おそらくそれ以下の結果になるのではないでしょうか。

    したがって、1,980円という数字を見たときに、おそらく多くの人は「1,900円」や「1,000円台」と感じるのではないでしょうか。

    また他にも、「イチキュッパ」だと、1,000円札2枚でお釣りが戻ってきます。

    ここには、少額のお釣りでもお得だと感じてしまう釣り銭効果が隠されているのです。

    単純接触効果とは

    単純接触効果とは露出効果ともいわれます。

    人々が何かに繰り返し触れることで、それを好む傾向が高まるという心理学的現象を指します。

    これは、人々が馴染みのあるものを好み、未知のものに対しては一定の抵抗感を持つという人間の基本的な傾向に基づいています。

    例えば、新しい音楽を聞くとき、最初はそれが気に入らないかもしれません。しかし、何度も聞き続けることで、その曲が好きになることがあります。

    マーケティングにおいても同じように、テレビCMやウェブ広告、看板など、繰り返し同じ商品やブランドの広告を見ることで、消費者はその商品やブランドに対して好意的になりやすくなります

    しかし単純接触効果には限界があり、ある程度以上に頻繁に露出すると、反感を抱くことがあります。

    これを「飽和効果」と呼びます。

    プロスペクト理論とは

    プロスペクト理論とは、行動経済学者ダニエル・カーネマンとアモス・ツヴェルスキーにより提唱された経済学の理論で、人間がリスクに関する意思決定を行う際の行動パターンを説明します。

    これは、人間が完全に合理的に行動するという古典的な経済学の仮説に反し、実際の人間の行動をより正確に捉えています。

    プロスペクト理論は以下の二つの主要な要素から成り立っています。

    • 同じ価値の利益と損失があった場合、人々は損失の方が大きく感じる
    • ぼ確実な結果とそれよりもわずかに不確実な結果とがあった場合、人々はほぼ確実な結果を選ぶ

    このプロスペクト理論をポイントカードに置き換えてみます。

    お店で「10回来店すると1回無料」というポイントカードが提供された場合、人々は10回来店してかかる費用よりも、「無料の機会を得る」ことに焦点を当ててしまいます。

    また、ポイントカードが9回スタンプが押され、あと1回で無料になる場合、そのカードを完成させるために同じお店を訪れてしまいます。

    なぜなら残り1回の訪問がほぼ確実に報酬をもたらすからです。

    まとめ

    本記事では紹介しきれなかった様々な心理学やマーケティング手法が本書では紹介されています。

    マクドナルドのメニューがみづらい理由や、スーパーなどにある試食コーナーの心理効果など、非常に興味深い内容が多かったです。

    冒頭に紹介した通り、本書は現在マーケティングに関連している仕事をしている人にとっても、一般消費者にとっても参考になる本だと思います。

    ぜひ、もっと様々な心理テクニックが知りたいという方は、ぜひ本書を手にとって観てください。